和田誠の膨大で多岐にわたる仕事の全貌を展示する美術展。
膨大な作品群と83年の生涯について、原画やポスターといった展示物をカテゴライズしながら丁寧に展示することに加え、空間的にどう見せるかが問われた。ギャラリーの1つ目の部屋には、ビジュアル年表として400㎜×400㎜×2500㎜の柱を22本並べた。4年分を1本にまとめた柱は奥にむかってダイナミックに展開し、鑑賞者は柱を手掛かりにしながら、三々五々思い思いに展示を巡ることが出来る。22本の柱の背面は、和田誠の色彩を空間的に体感できるように、原画から引用した配色とした。2つ目の部屋は、2000点におよぶ週刊文春や日活のポスターなどの圧倒的な物量を視覚的に感じられるように、部屋の中央に整然とレイアウトした奥行28M高さ3.2Mのグラフィックヴォリュームを設置した。鑑賞者はテキストの無い膨大なグラフィックを辿りながら、これまで知らなかった和田誠にふと出会えるような、そんな展示を意図した。